Have a goodnight sleep...  ☆

航太(こうた)兄ちゃん〜」
 幼い声に航太が振り返ると、有名伝統校の初等部の制服姿の少年が駆け寄ってきた。少年は椎名潤平(しいなじゅんぺい)、航太の姉の息子である。
 週に二度、航太は姉の嫁ぎ先である椎名家に稽古に訪れている。姉の義父は能楽界の重鎮・椎名衡平(こうへい)、姉弟の祖父である篠崎龍太郎(しのざきりゅうたろう)とも親交の深かった人物で、祖父亡き現在は航太の師匠兼後見人のような存在だ。
 門から玄関へと続く玉砂利の道を、潤平はスキップするようにして航太に追いついた。航太の後ろ姿を見つけ走ってきたのだろうか、その息はあがっている。しかし、表情はどこかゆるんでいてやけに上機嫌だった。
「潤平、おかえり。何持ってるんだ?」
 大きな紙袋を重そうに抱えている姿に航太はそれをのぞきこんだ。
「もらった」
 袋の中身は、可愛らしくラッピングされた色とりどりのプレゼントの山。おそらくチョコレートだろう。バレンタインディは明日だが、明日は土曜日、学校は休みなので今日もらったのだろう。それにしても、クラスいや学年の女子全員からもらって来たかのような量である。明るい性格と整った容姿から、潤平はクラスはもとより学校中の人気者らしい。流石、その美貌を面で隠すのはもったいないと冗談交じりに噂される能楽界のホープ・椎名
遼平(りょうへい)の長男である。
「そうか、明日はバレンタインだったね」
「航太兄ちゃんはまだもらってないの?」
  どこか誇らしげに尋ねる潤平。
「うん。でも姉さんも劇団の仲間も毎年くれるよ」
「ふ〜ん。早く奥さん作ってよ。ボク、男の子のいとこが欲しいなぁ」
「ははは……、まあ、そのうち、ね……」
 潤平の素直な意見に航太は苦笑いを返すしかない。まだ十歳にも満たない甥っ子には、航太の『特殊な事情』は理解できるはずもない。大人だから理解できるという訳でもないのだが。
「おかえりなさい、潤平」
 まるで助け舟のように玄関が開き、優しい笑顔の女性が顔を出した。航太の姉・海穂(みほ)である。
「ただいま、ママ」
「チョコレートケーキ焼いたわよ」
「ぃやったぁ!」
 そう言って飛び上がると、持っている袋を放り投げる様に母に預け、潤平はダッシュで家に入っていった。先程の自慢げな様子はなんだったのか、航太は思わず苦笑する。しかし、それも無理はない。海穂の料理の腕前、特にお菓子にかけては、以前店を出さないかという打診まであったという程だ。ましてや母親の愛情のこもった物のなのだから、まだ幼い潤平には何より勝るバレンタインチョコレートだ。
「いらっしゃい、航太。まったくもう、潤平ったら、せっかくの女の子達の好意を……」
 手の中の紙袋を見下ろし、海穂は軽くため息をつく。
「姉さんのケーキは絶品だから、仕方がないよ」
「そういえば、あなたもたくさんチョコ抱えて帰って来たわよね」
「……昔の話だよ」
「ところで、あなたはあげなくていいの?」
「……姉さん……」
 二の句が継げずに怒っているような、照れているような微妙な表情で沈黙する航太を見て、海穂はくすくすと笑った。航太の『特殊な事情』を知り、かつ認めてくれている唯一の肉親が彼女である。弟のそんな様子もわかりきっていたように、海穂は言葉を続けた。
あなた達(・・・・)の分も焼いておいたから持って帰ってね。辛党さんにも大丈夫なように、お砂糖はかなり控えめに作っておいたから」
 航太の性格を知り尽くしている彼女は、弟が『彼』に渡すチョコレートを用意していないはずだと思ったのだろう。事実、航太はどうしようかと悩みながらも、女性でごった返す売り場に行けるはずもなく、渡す相手は甘い物があまり得意ではない事もあり、スルーしてしまおうかと思っていたぐらいだ。
 海穂の予想外の言葉に、航太はもう笑うしかない。その心遣いが有難くもあり、どこかくすぐったくもあり……。やはりこの人には敵わない。
「……ありがとう、姉さん」


     ※   ※   ※   ※   ※


 一方、時はその日の夜九時過ぎ、(はじめ)は行きつけのカウンターバー『silver moon』のドアを開いた。
「いらっしゃいませ、肇さん。(たまき)さん、もうお待ちですよ」
 マスターがそう声をかける。カウンターの定位置には、頬杖をついてこちらを睨む長髪の青年が一人。眉間に皺を寄せて、隣に来た肇を睨んだ。
「おう、早かったな、環」
「馬鹿野郎、何が早かったな、だ。急に呼び出しといて自分は遅刻とは、相変わらずいい度胸だな、肇」
 早口でまくしたてる青年は、肇と航太の中学からの親友・環である。代々続く外科医の家系に生まれながら、精神科医として開業している変り種だ。
「うるせえ。どうせヒマなんだろ」
「なんだとぉ。帰るぞ」
「嘘嘘。おごるから付き合えよ」
「当然だ」
 まるで口喧嘩のような言葉の応酬だが、間に入って巧くフォローする航太がいないといつもこんな具合だ。環の隣に腰を下ろし、肇は大きくため息をついた。マスターがウオッカのビンに手を伸ばしたが、それを右手で制する肇。
「メシまだなんだ。なんか適当に作って」
「わかりました」
 そう言うと、マスターは手際よく何かを作り始めた。肇はジャケットから煙草を取り出し火をつける。
「珍しいな。航太は?」
「今日は能の方の稽古。あっちでメシ食ってから帰るっていうから。加地(かじ)でも連れてどっか食いに行こうかと思ったら、先約があるとか言いやがって……」
 ちっと舌打ちする肇に、環は苦笑いする。
「しょうがないだろ。肇、明日は何の日だ?」
「明日? なんかあったっけ?」
「バレンタイン。だから、加地君もデートなんじゃないのか、志麻(しま)ちゃんと」
「生意気な」
 そう毒づく肇だが、その瞳は穏やかだ。自らの配下である二人が、ずっと以前からお互いに心を寄せつつも、なかなか本心を見せない様子にやきもきしていた。そんな二人がやっと『恋人同士』になってはじめてのバレンタインだ。
「しゃーねーな。初イベントは尊重して、今回だけは許してやるか」
 悪戯っぽくつぶやき紫煙を吐き出す肇に、マスターはミネラルウォーターを差し出し、環の空になったビールのグラスを新しい物と取り替えた。
「……お前らはいいのか?」
「はぁっ?! な、何言ってんだ、環!」
 珍しくうろたえた様な肇に、環は苦笑する。昔から航太が肇に思いを寄せている事には気づいていたし、二人の間には単なる友情とは言い難い、とても深い絆がある事も知っている。だから紆余曲折あったものの、今肇と航太が心穏やかに共に過ごしている事は、環にとっても嬉しい事だった。
「だって去年はそれどころじゃなかっただろ? 今年こそゆっくり……」
「うるせえ、黙ってろ」
 環の言葉を遮り吐き捨てる肇だが、その顔はほのかに朱に染まっている。
「おいおい、もう酔ってんのか?」
 茶化す環、肇はその頭をごつんと殴る。
「って〜な、もう」
 頭をさすりながら、しかし環は美味そうにビールを含み、唇に付いた泡をぺろりとなめた。
「ま、バレンタインってのは、日本じゃ女性が男性にチョコレートを贈る日ってなっちまったけど、元々は恋人達の愛の誓いの日なんだから。ま、がんばれよ(・・・・・)、肇」
 肇の二発目の拳が環の頭にヒットしたのは言うまでもない……。


     ※   ※   ※   ※   ※


 椎名家から帰宅する電車の中、向かいの座席で寄り添うカップル。男性の方は、どこか成年時代の肇を思い出させる顔立ちをしていて、ふと航太は高校時代の出来事を思い出した。
 それは高校3年の2月中旬、受験シーズンの真っ只中。しかし、肇と航太は早々に推薦での進学を決め、環も大本命の受験を終え、気楽な登校日だったその日。男子校である自分達の学校の近くで待っていた少女は、近所の高校の下級生だった。名前は知らないが、時折見かけるので顔だけは認識している。自分達の学校でも可愛いと人気のある存在の一人であるようだ。
「……あの、小笠原(おがさわら)さん……」
 意を決したように肇に声をかける少女を、しかし肇は軽く一瞥しただけだった。
「何?」
「……あの……これ……」
 震える手で差し出す小さな箱。チョコレートである事は誰が見ても明らかだった。
「悪い、受け取れない」
 無情にもきっぱりと言い放つ肇に、少女は呆然と立ち尽くしている。見かねた環が口を挿もうとするが、航太は首を振ってそれを静止する。
「俺、好きなヤツいるから」
「……そう、ですよね……」
 そう蚊の鳴くような声でつぶやくと、少女はぺこりとお辞儀をしてその場を駆け出した。明らかに泣いていた。
「おい、肇! いくらなんでもアレはないだろ!」
 環の抗議も意に介さない肇。一人すたすたと歩き出す。環と航太はその背を追いかけた。
「肇!」
「うるっせえな! 俺は気のないヤツに期待持たせるような真似、したくねーんだよ!」
 環に肩を掴まれ、肇はそう吐き出した。それを聞いて環はため息をつく。
「……ったく、それならそれで、もっと巧い断り方もあるだろ……」
 呆れたような環の言葉。視線を交わして航太も苦笑してうなずいた。真正直というか不器用というか……。
「……俺は……、あいつに本気だから……」
 ぽつりとつぶやいた肇の言葉が航太の胸に深く突き刺さった記憶は、今でも鮮明に覚えている。自分が肇に対して抱いている気持ちが『友情』ではなく『愛情』であると悟った瞬間だったから……。
 ふう、と思わず大きなため息がこぼれた。思いがけずよみがえった青春時代の出来事も、今では良い思い出に変わりつつある。
 早く家に帰りたい、帰って肇の顔が見たい。思い出話や他愛もない話でいいから、ゆっくりと語り合いたい。航太は無性にそんな気持ちに駆られながら、逸る気持ちを抑えるように深夜の都心の車窓を眺めていた。


     ※   ※   ※   ※   ※


「ただいま」
 航太が家に帰った時には、もう日付が変わっていた。リビングの電気は点いているが、気配はない。
「……肇?」
 風呂にでも入っているのか、それとももう自室で寝てしまったのか。しかし、TVの電源は入ったまま。小首をかしげながら航太がリビングに入ると、求める人物はソファーの上で眠っていた。洗い髪はまだ濡れたまま、バスローブの紐もきちんと締まっていない。いくら暖房のついた室内とはいえ、今は風邪の流行する季節だ。
「まったく、もう……」
 航太は呆れたようなため息をついて、姉・海穂からもらったケーキの箱をテーブルの上に置いた。テーブルにはビールの空き缶が数本転がっていた。
「肇、風邪ひくよ」
 その肩を少し強引に叩いて揺り起こした。
「……ん……」
 肇がゆっくりと目を開けた。まだ酔いが残っているのか、その熱っぽく潤んだ瞳には、航太の姿だけが捉えられている。
「おかえり」
 そう言って手を伸ばし航太の顔を引き寄せると、その唇を重ねた。ゆっくり味わうように航太の唇を楽しみ、そして惜しむように唇を離す肇。
「ただいま。……TVつけっぱなしだよ」
「ん、わり。なんか今日は珍しく回っちまった」
 航太は苦笑しながら肇のバスローブの紐を結んだ。肇は起き上がり、近くに放り投げていたバスタオルを拾っで軽く髪を拭くと、大きく首を横に振った。
「めんどくせ」
「……もう、犬じゃないんだから」
 航太はタオルを奪い取って、肇の髪を拭いてやる。まるで母親のように……。
「ほんと、手のかかるヤツ」
「そ。俺はお前がいなきゃ生きていけない」
 さらりと、本気とも冗談ともとれる言葉をこぼす肇に、航太はまた苦笑する。
「……お前……」
「あ、環にお前が好きそうなシャンパン聞いて買ってきた。呑まねぇか?」
 ダイニングカウンターを見ると、シャンパンが冷やされグラスも用意されていた。家事関連の仕事を、肇は自分からはほとんど何もしない。時々航太に促され、食後の片付けと、自分の部屋の掃除・整理をする程度だ。自らコーヒーを淹れるのさえ億劫がる彼にしては珍しい。
「……いいよ。でも、どういう風の吹き回し?」
「いいじゃねえか、たまには」
 肇は立ち上がりシャンパンの栓を開け、グラスと共に持ちソファーに戻る。グラスを航太に渡し、注ぐ。
「ありがと」
 肇は自分の分は手酌で注ぐ。そんな所がまた彼らしく、航太はくすっと笑った。
「なんだよ」
「なんでもないよ」
 軽くグラスを合わせる硬質な音が響いた。
「……あ、おいし」
 航太の瞳に明るい色が宿った。元々あまりアルコールに強くない航太だが、軽めのワインやシャンパンは好んで飲んでいる。とはいえ、もっぱら三杯も呑めば呂律が回らなくなってしまうので、『ザル』を超えた『ワク』の肇からしてみれば杯を重ねる相手としては物足りない存在だ。
「んー、悪くはないけど、俺はやっぱり日本酒の方がいいな」
 軽く一杯呑み干して、肇は煙草をくわええながらキッチンに向かう。航太はシャンパンのラベルをしげしげと眺めながらにこにこしている。どうやらだいぶ気に入ったようだ。珍しく速いペースで一杯目を開け、二杯目を並々と注いだ。
「肇ぇ、ケーキ食べよ。ナイフとフォークとお皿出して〜」
 どこか甘えたような鼻にかかった声は、航太が酔ってきた証拠。肇が振り返ると、航太はたどたどしい手つきでテーブルの上の箱を開けていた。
「お前、ペース早くねえか?」
「だって、おいしいんだもん。流石、環。わかってる」
「なんか嫌味に聞こえるんだけど」
 苦い顔をしながら肇がキッチンから戻ってくる。その右手にはいつも呑んでいる日本酒の一升瓶、そして左手にはデザート皿とナイフとフォーク。
「ほら」
「ん、ありがと」
 そう言って満面の笑みを返す航太。ピンク色に染まった頬がやけに目について、肇はとっさに目をそらした。このまま押し倒したくなる衝動に駆られるが、それを抑えるように深く呼吸する。今はまだ駄目だ、と心の内に言い聞かせるように。今日は大切な事を航太に告げなければならないのだから……。
 航太はチョコレートケーキにナイフを入れる。その手つきはやはりいつもよりたどたどしく、どこか危なっかしい。肇は苦笑しながら皿を差し出した。
「買って来たのか?」
「姉さんの手作り。お前も大丈夫なようにかなり砂糖控えめにしてくれたんだから。勿論、食べるだろ?」
「……海穂さんのお手製とあれば、頂きますよ」



 時計の針はまもなく二時を指そうとしている。テーブルの上には半ホールになったチョコレートケーキ、空になって転がったシャンパンとワインのボトル。ソファーにだらしなく寝転がる肇、その傍で航太は床に正座を崩したような格好でぺたりと座り込んでいた。
「だ〜か〜らぁ、ほんとお前は不器用なんだよ。昔から危なっかしくて、見てるこっちの方がハラハラするんだって。わかってんのかぁ?」
「へいへい。……今度は絡むのか……」
「なんだとぉ。肇、お前ほんとにわかってんの?」
 航太は完全に酔いが回っている。大笑いしたかと思えば、急に昔の事を思い出して怒り出したり。いつもの穏やかな彼からは想像もつかないぐらい、まるで子供のようにくるくると表情が変わる。
「お前、マジで呑み過ぎ。もうストップ」
 肇は航太のグラスを取り上げようとするが、するりとその手をかわす航太。
「や〜だ。あ、空だ。肇、注いで」
「もうダメだっつーの」
「けちぃ。いいじゃん、あと一杯だけ」
「あと一杯って、さっきから何回言った?」
 目の前に出されたグラスを手で払い除けると、すぐそこに航太の顔がある。色白の肌が上気し桜色に染まり、潤んだ黒い瞳がやけに艶っぽい。
「お・ね・が・い」
 そう言って真っすぐ見つめてくる航太。肇ははぁ、と深くため息をついて起き上がった。
「ほんとにあと一杯だけだぞ」
「うん、ありがと」
 航太の満面の笑み。これを見せられると本当に敵わない、と肇はつくづく思う。ふだんは感情の起伏を表面に出さない航太が、酔った勢いとはいえ、全てをさらけ出し、泣き、笑い、怒り、そして甘えてくる所などたまらなくいとおしいと思う。
 肇はテーブルのワインのボトルに手を伸ばし、航太のグラスに注ぐが、ほんの少し注いだだけで空になってしまった。不満顔の航太。
「え〜、これだけぇ」
「しょーがねぇだろ、これで終わりなんだから」
「もっと呑むぅ」
「―――! だあっ、もうっ!」
 肇はボトルを床に放り投げ、そしてその手で航太を後ろから抱きしめた。少しは抵抗されるかと思ったが、航太はすんなりとそれを受け入れ、肇の腕に額を寄せた。
「……お前、俺以外と呑むの禁止」
 そう耳元でやさしくささやく肇。
「なんで?」
「こんな航太、俺以外の誰にも見せたくねぇから」
「……見せないよ。俺が全部見せるのは、肇だけだから……」
「……っつ、お前は……」
 素直な航太の反応に肇は少し面食らうが、しかし目を細め、いとおしげに航太のうなじにキスを落とした。
「……航太」
「なに?」
「バレンタインって、本来は恋人同士が愛を誓う日なんだって、知ってたか?」
「うん、環から聞いた事ある」
「俺もさっき環から聞いてさ。……去年は、それどころじゃなかったし、落ち着いてからもちゃんと言ってなかったから、今日はお前に言っておきたくて……。航太、俺は……」
 ごくりと唾を飲み込んで肇が次の言葉を紡ぎだそうとした時、航太の体がかくん、と倒れた。
「航?」
 肇が腕の中の航太の顔をのぞきこむと、彼はすーすーと穏やかな寝息をたてていた。
「…………」
 肇は額を抱えてため息をつくが、しかしすぐにくすくすと笑いがこぼれた。倒れた身体をそっと引き寄せ、腕の中に大事に抱きしめる。
「……ったく……、お前ってヤツは」
 幸せそうな航太の寝顔に語りかける肇。起こさないように、そっと。
「もう、一年前みたいな思いはさせない。……ずっと、何があってもお前のそばにいるって誓うから……、だから……」
 祈るようなささやき、そしてくちづけ。
「……航太、ずっとそばにいてくれ……」
 返事はないとわかっていても、肇は言わずにはいられなかった。しかし、航太の応えがなくても、それでも心の中は幸福感で満たされる。まるで汚れを知らない幼子のような安心しきった表情で、今自分の腕の中で航太が眠っているから。
「……おやすみ」





ぷう。結構難産だったバレンタイン短編。やっと書けたわい……(^^ゞ
再び『BLUE KINGDOM』外伝。これまた時系列は本編後、クリスマス短編の後ですね。最初はもっと違う方向(ま、つまり、えにょですよ)に行くのかと思いましたが、肇さんが珍しく自主規制かけたみたいですな、愛の誓いの日・聖バレンタインデーですから。って、肇さんに蹴らりた・・・。ま、今回もR-15で。
話の都合上、結構登場キャラ(名前のみも含め)がたくさんいたけど、キャラの相関関係が分かりづらくて申し訳ないです。そのうち必ず本編を……!! って、前にも書いたな……(苦笑)。
ちなみに素朴な疑問。『加地』のひらがな表記は『かじ』でいいんかね? それとも『かぢ』になるんかね? Wikiで調べたら、人によって違うし……、う〜む、気になる……。

今回はイメージソングは特になし。題は迷いに迷った末、風味堂『Have a goodnight sleep...』から頂きました。
 
 

更新日:
2009/02/06(金)